暦注の中段に記されている十二直は、日本で最も重視されてきた、日々の吉凶判断です。
正倉院に所蔵されている、日本最古の暦にも記載があるほど、長い歴史の中で重宝されてきました。
十二直の由来や、一つひとつの意味などを詳しく見てみましょう。
索引
飛鳥時代から存在した十二直
日本における「十二直」の歴史を遡ると、飛鳥時代(592~628年)まで辿ることができます。
少なくとも1300年以上もの時間、親しまれてきたことが分かりますね。
六曜が流行するようになる昭和の初期までは、最も身近な日々の吉凶判斷でした。
十二直の「直」という字には、「當たる(あたる)」という意味があり、吉凶判斷がよく的中する暦注だと信じられてきました。
明治時代に、政府による暦注禁止令がなければ、今も、私たちにとって身近なものだったのかもしれません。
十二直の由来はひしゃく星
日本で親しまれてきた十二直の由来は、ひしゃく星こと、北斗七星にあります。
古代中国では、北斗七星は、方角や季節を知るための手がかりとして大切にされてきました。
北斗七星は、ひしゃくの形をした星座ですが、ひしゃくの頭の部分にある2つの星を結んだ先に、北極星をみつけることができます。
北極星は一年じゅう位置が変わることがありません。
この北極星と北斗七星を観察する過程で生み出されたのが十二直です。
北極星を軸に回転する、ひしゃくの柄部分は、季節によって向きがことなります。
柄の向きを十二支による方位と組み合わせて、十二直は配置されるのです。
十二直の意味
十二直には、「建・除・満・平・定・執・破・危・成・納・開・閉」の12種類があります。
それぞれが異なる日々の運勢を意味するので、確認してみましょう。
最近のカレンダーでは、平仮名で表記されることが多いようです。
建 (たつ)
「万物を建て生じる」という意味を持つ大吉日で、事始めに適した日と考えられています。
【吉】 万物に吉。とくに神仏の祭祀、棟上げ、衣類の着始めなど
【凶】 土工や動土、蔵開きなど
除 (のぞく)
「障害を取り除く」という意味を持つ吉日で、不浄をはらってくれると考えられています。
【吉】 治療、掃除、種まき、井戸掘りなど
【凶】 婚礼、金貸し、旅行など
満 (みつ)
「すべてが満ち溢れる」という意味を持つ吉日ですが、控えめに行動するのが良しとされています。
【吉】 婚礼、引っ越し、祝い事、新規事など
【凶】 動土、鍼灸、服薬など
平 (たいら)
「あらゆる物が平らかになる」という意味がある吉日で、何事も平等・円満になりやすいと考えられています。
【吉】 旅行、道の修理、婚礼など
【凶】 穴掘り、種まきなど
定 (さだん)
「善悪が定まる」という意味を持つ小吉日で、何かを定めるのに適しています。
【吉】 婚礼関係、引っ越し、建築、開店など
【凶】 旅行、起訴など
執 (とる)
「執行し促す」という意味を持つ小吉日で、何かを採決するのに良いとされています
【吉】 祭祀、祝い事、増改築など
【凶】 金銭の出入り、財産管理など
破 (やぶる)
「物事を突き破る」という意味を持つ凶日で、取り決めなどを行うには不向きとなっています。
【吉】 起訴、談判、漁猟
【凶】 契約、祭祀、祝い事
危 (あやう)
「何かを危惧する」という意味を持つ凶日で、何事を行うにも危ないとされています。
【吉】 祝い事は控えめにすると吉
【凶】 旅行。登山、開店、開業など
成 (なる)
「物事が成就する」という意味を持つ小吉日で、何事にも成功しやすいと考えられています。
【吉】 新規事、開業、開店、建築など
【凶】 起訴、談判など
納 (おさん)
「納め入れる」という意味を持つ小吉日で、何かを納めるのに適しています。
【吉】 買い物、収穫、保存など
【凶】 お見合い、婚礼、葬式など
開 (ひらく)
「開き通じる」という意味を持つ半吉日で、運勢が開けると信じられています。
【吉】 入学、婚礼、引っ越し、建築など
【凶】 葬式、不浄事など
閉 (とず)
「万物を閉じ込める」という意味を持つ凶日で、何事も閉止してしまうと言われています。
【吉】 金銭の出納、建墓、物事を終わらせる
【凶】 開店、開業、婚礼、棟上げなど
十二直|北斗七星をもとに占う吉凶の意味を知る まとめ
六曜よりも歴史が長く、よく的中すると信じられてきた十二直は、現代でも忘れ去られたわけではありません。
カレンダーによっては、十二直を採用し、日々の吉凶判斷ができるようになっています。
それぞれの意味を知って、良い日を探してみてくださいね。
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